指標、に安住しない | 因果倶時

指標、に安住しない

事業運営をしていると、
「指標」
というものが出てくる。

ネット業界であれば、
基本的にあらゆるデータが追跡可能なため、
「指標」は、
設定しただけ取り放題である。

この「指標」というものは非常に便利で、
便利というよりも、必須ということにされているけれど、
あくまでも、「組織運営のための便利なツールにすぎない」、ということを忘れてしまうとろくなことはない。

そもそも、事業責任者になったことのある人であれば多かれ少なかれ経験があると思いますが、
指標は、
そもそも何を指標にするかを決めるのが一苦労。

なぜかといえば、
「これだけ追っておけばいい」
なんて指標はどこにもないから。

事業は、
総力戦であり、
全ての指標において競合を凌駕したものが勝つというのが当たり前の事実。

とはいえ、
何もかもを組織目標としておってしまうと焦点がぼやけて逆に何も追えなくなってしまうので、
「指標」を頑張って決め、そこにわかりやすく焦点を当てて追いかけていくのが手法として有効になる。

つまり、これはあくまでも、
「組織」に「組織成果」を一番わかりやすく伝えるための手段にすぎないのであって、
そこだけにフォーカスを当てていればいいというわけでは全くない。
むしろ、その指標が変化してから何かの手を打っても遅い。

変化する前に手をうつべく、
全ての間接データをつねに把握しておくことで細かな変化の兆候を感知し、
問題にもならないような段階で徹底的に問題をつぶして全ての指標を右肩上がりにできるよう手を打っておき、
常日頃から当たり前のように総合力をあげていくのが責任者の仕事。

指標は事業にダイレクトなインパクトを与えるという意味で重要な部分ではあっても、
あくまでも全体の中の結果としての一部分にすぎない。

まして、競合他社・競合サービスがあれば、自社指標だけ追っていれば世の中の大きな変化の中で、
自己満足のような間の抜けたことになりかねない。

指標にとらわれることなく本質的に何が重要なのかをちゃんと把握し、超えられない壁を日ごろの努力で地道に越えていき、さらに、一気にそれまでのスタンダードから飛躍するような仕掛けを常に考えることに頭を振り絞り、そのための情報インプットを続け、自分なりに工夫して、施策を投入し続ける。
そうやって、組織に、達成するべくして指標を達成させる。
その頃には、とっくに次の手を見据えている。むしろ、すでに着手している。
それは、まだまだその重要性に気づいていない、
「いったんここで達成を楽しもうよ」、というチームとの、孤独な戦いでもある。

「指標」を選定したことによって切り捨てられてしまった部分に、
責任者だけは常にウォッチを忘れないようにする。
指標、に安住しない。